(遺
言)
基本的には、遺産の分け方を指定するためのものです。
「遺
産が少ないから大丈夫」という声も聞かれます。
確かに、あえて時間と費用をかけて遺言書を作成する必要は、それほどない方もおられます。
では、遺言が必要かどうかは、どうやって検討したらいいのでしょうか?
そのためには、具体的に相続人になるはずの方々の顔を思い浮かべてみることです
そして、その方々が、あなたが住んでいた自宅または誰かの家に集まって、遺産分けの話し合いをしている場面を思い浮かべてみて下さい。
揉めることはないとしても、複数の人間が話し合いで何かを決めるというのは、難しいものではないでしょうか?
特にそれがお金に関することだとすると・・・。
また、例えば、あなたご自身は「家は長男が継ぐもの、嫁いだ娘は分ってくれる」とお考えだったとしても、今は個人の時代です。法律も個人の取り分を認め
ています。
同じあなたの子どもたちであっても、どうしても遺産の分け方について、話し合いをする必要があります。
そして、嫁いだ娘さんの後ろには娘さんのご家族がいることでしょう。お子さん(あなたのお孫さん)の教育費がかかる頃かもしれません。
娘さんは「法律どおり平等に分けましょう」とまでは言わなくても、少しだけでもいいから欲しい、と言い出しても不思議ではありません。
そのようなとき、たとえ簡単なものでも遺言書さえあれば、精神的負担となる話し合いをする必要はありません。残された者たちは、ただ遺言書に書いてある
とおりに手続きするだけで済みます。
つまり、金額の多い・少ないではなく、どのような遺産をどのような相続人(たち)が受け取るか、遺産分けの話し合いが簡単に決まりそうか、などによっ
て、遺言書の必要性が決まってくるものだと言えます。
また、相続人以外の方に遺産を受け取って欲しい場合は、遺言書が必要です。
遺言で他にできることとしては、子の認知や祭祀主催者の指定など、いくつかあります。それらは必要に応じてご説明・ご提案しています。
費用は、自筆で作る場合と、公正証書にする場合とで、違いがでてきます。
ご事情に合わせてお選びいただけるように、ご説明・ご提案いたします。
まずはご相談下さい。
(相続)
現金数千万円・自宅の他にアパートを経営・株式その他と、莫大な財産を築いていた方もいれば、遺産は通帳1つに数十万円、という方もいます。
「うちは通帳1つだけだから、銀行に行けばそれで大丈夫」と簡単に考えている方がおられますが、実際に銀行に行ってみると、「大量の戸籍を集めて、相続人
全
員の印鑑証明書を持ってきてください」と言われ、困って私のところに相談に来られる方が、結構おられます。
遺産の多い少ないに関わらず、手続きとしてやることはそれほど変わりません。
ということは、専門家に頼むと、遺産が少なくても、同じような報酬を取られる
可能性があるということでもあります。
当事務所は、そのような方でも依頼しやすいよう、作業別に報酬を分けて計算しています。
「手続きフルセットで一律数十万円」とするのではなく、相続人の人
数、集める戸籍の数、作る書類の種類、名義変更の件数などにより、それぞれ別々に計算することで、受け取る遺産の額と専門家に支払う報酬とのバランスが取
れるように配慮しています。
例えば、残高50万円の通帳を名義変更するのに、専門家に10万円支払わなければならない、というようなことをできるだけ無くすようにしたいと思ってい
ま
す。
実際に、相続人が1名だけ、遺産は通帳1つ(残高数百万円)、という案件がありました。
遺産分割協議書は不要(相続人1名なので)、名義変更はご自分
で銀行に行く(付き添いはいたしましたが)というケースでしたので、戸籍収集だけで済みました。
従って、報酬約3万円しか発生しませんでした。依頼者から
も感謝されました。
相続手続きには、遺産が預金か不動産かを問わず、まず戸籍の収集が必要です。
子が相続する場合と、親が相続する場合では、大体数通〜10通くらいの戸籍を集めることになります。
亡くなった方に子がなく、親も亡くなっている場合は、兄弟姉妹が相続することになり、戸籍はおおよそ10通〜20通くらい必要になるかと思います。亡く
なっている兄弟姉妹がいるともっと多くなることもあります。
ご依頼いただければ、全て当事務所が代わって集めることができます。
遠隔地であっても集めることができます。
ご実家が北海道、沖縄でもご安心下さい。
よく「相続人は私だけで間違いないのに、どうしてそんなにたくさんの戸籍が要るの?」という質問を受けます。
そのときは「あなた様は自分だけが相続人だ、とよく理解されているでしょうけれども、あなた様と全く関係がない銀行はそのような事情を知りません。また、
たとえ知っていたとしても、お金を渡す以上、間違いなくこの人が相続人ですよという証拠が必要になります。」と答えると、大体納得して下さいます。
戸籍の数が多いことについては、結婚したり養子に入ったり本籍地を変えたりすると戸籍が作りなおされること、また戸籍の制度が変わるとき(戦後新民法に
なったときや、コンピュータ化されたときなど)にも作りなおされますので、その分だけ数が増えます(大体ひとり4通くらいあることが多いです)。そして、
亡くなった方の生まれたときから亡くなるまでの戸籍を、全部つながるように集めないと、全ての子どもが判明しないため、結果的にそれだけの数になってしま
います。
戸籍を集めることにより、相続人が確定します。
相続人全員に連絡を取り、遺産の内容を通知して、遺産分けの話し合いをします。
遺産額が大きい場合は、全員が集まって話し合うことが望ましいと思います。遠方の方でも、遺産額が大きければ、案外来てくれるものです。
遺産が少なく、話し合いも簡単に済みそうなときは、電話や手紙などで合意する場合もあります。
話し合いがまとまれば、遺産分割協議書を作成します。
全員の署名捺印と、印鑑証明書を添えることが必要となります。
もし「話合いがまとまらない」、「より有利な条件を引き出すため(または相手の主張に納得できないため)、専門家に交渉して欲しい」というような場合
は、
行政書士の業務権限を超えますので、弁護士にご依頼いただくことになります。(行政書士の業務はそこで終了しますが、それまでに集めた戸籍はそのまま使え
ます。)
遺産分割協議書が完成したら、最後に遺産の名義変更を行います。
預金などは銀行で手続きします。不動産は法務局で手続きします(ご要望に応じ司法書士をご紹介します)。
お困りの際はご相談下さい。
(成年後見)
成年後見は、認知症などで判断が難しくなったり、判断ができなくなったりした場合、その判断を補完したり、代わって判断したりする人を選ぶ制度です。
判断が他人に委ねられると聞くと「えっ、そんなことができるの?」と思われるのではないでしょうか。
子どもが携帯電話の契約をするときや、銀行口座を作るとき、中古ゲームソフトを売りに行くときなどに、親の承諾が必要だったり、親が代わって契約したり
と
いうことがあると思います。まずはアレと同じだとイメージしていただけると分かりやすいと思います。
ちょっと考えてみていただければ分かると思いますが、誰かが自分の代わりに判断して、それで全てが決まっていくとしたらどうでしょうか?
親と子でさえ、子どもから見れば「自分はちゃんと携帯電話を管理できるのに、親が許してくれない、分ってくれない」という気持ちはあると思います。
しかし、親の立場でみると、子どもの性格を見抜いており、自分で管理させるのはまだ早い、危険だ、などという判断をしてのことでしょう。
大人ならもちろん、自分のことは自分で決められます。万が一、病気などでやむを得ない場合でも、少なくとも自分の夫とか妻とか、本当に信頼している人にし
か任せられない、と思うのが普通ではないでしょうか。
そうは言っても、誰しもが、衰えたり、事故に遭ったりして、この先自分で判断することができなくなる可能性はあります。
そのような、万が一のときのため
に、成年後見制度は存在します。
ここまで見てきてお分かりいただけたと思いますが、成年後見制度を利用してうまくいくかどうかは、誰を、どんな人を、成年後見人にするかが最大のポイン
ト
になると言えます。
また、成年後見人は、一旦仕事が始まれば、制度上、別の人に変えるのは難しくなります(辞めるにも裁判所の許可が必要です)。
従って、成年後見人を選ぶときは、慎重に行いましょう。
成年後見人を誰にするか、最終的な決定権は裁判所にあります。ご本人はすでに判断能力が低下しているためです。
判断能力が低下する前であれば、任意後見契
約によって、自分で後見人を選ぶこともできます。
制度開始当初、成年後見人はその多くが、本人の子どもや甥姪など、ご親族の方でした。
最近は、成年後見人として、私たちのような第三者の専門職(弁護士や社会福祉士など)が増えてきて、割合としてはついに逆転しました。
専門職にも色々な人間がいます。専門職だからというだけで安心せず、最低でも実際に会って、色々質問してみることです。
本人とどれくらいコミュニケーショ
ンを取ろうと努力するか、また本人の気持ちになって考えてくれそうか、というのが一つのポイントとなります。
専門職の場合、報酬が発生することも押さえておきたい点です。
金額は裁判所が決定します。東京家裁、横浜家裁の場合、概ね月額2万円程度からという基準に
なっているようです。この成年後見人に支払う報酬も、本人の負担となります。
介護・福祉サービスは、多くの場合、税金や保険料などの公的な資金が注ぎ込まれていて、低廉な金額でサービスを受けることができます。
成年後見制度も福祉
関係の窓口で勧められたりすることから、他の福祉サービスと同じような費用だろうという感覚でいることが多いと思います。そのため、あとから金額を聞い
て、思ったより高く感じる方もいるようです。
本人保護の制度である以上、本人の生活に支障が出るような金額が決定されることはありません。そういう意味では、支払える範囲の金額になるはずです。
しかし、人それぞれ事情があります。障害を持つ子の将来のために、親が子の名義でコツコツ貯め続けた貯金があったとします。子には、収入が少なくても財
産
がある、ということで、標準的報酬額が成年後見人に支払われたりすることもあり得ます。収入が少ないので、この親が貯めてきた貯金は、成年後見人の報酬に
充てられ、徐々に目減りしていくでしょう。そうなると、親としては、子のために貯めておいた貯金は一体何だったのか、ということにもなりかねません。
そのようなことにならないよう、事前によく検討することが大切です。
報酬だけを考えるなら、親族がなるのが一番ということになります。
しかし、誰もが親族間で支え合える環境にあるとは限りません。
また、親族間では、どちらの財産なのかがうやむやになりやすく、第三者が客観的な目で扱うほ
うが適切な場合もあります。
現在、国は「市民後見人」の育成に力を入れています。
自分の身近な地域において、判断能力の低下した方をどう支えるか、という地域福祉的な視点も踏まえつ
つ、地域資源としてのマンパワーを活用していこうというものです。
私もこの考え方に共鳴し、市民後見人育成の動向に注目していますが、まだまだこれから、といったところです。
成年後見制度は、すでに判断能力が低下している方のための法定後見(家庭裁判所)と、判断能力に問題がない方が将来の判断能力低下に備えるための任意後
見
(公証役場)とがあります。
具体的なご利用の際は、事前に、当事務所や、公的機関(市役所、地域包括支援センター)などに相談されますようお勧めいたします。
当事務所として、成年後見人・任意後見人などのお引き受けもしておりますが、後見制度ありきではなく、全体を見たうえで「ご本人の生活をどのように支え
る
か」を軸に考えますので、他の制度により問題ない生活を送ることができる見込みがある場合は、成年後見制度とは違うご提案をする場合もあります。
また、任
意後見契約の場合は、ご本人様のお考えと、将来の見通し、考え得る問題と対応策などを一旦整理し、どのような契約が適当かを詰めていきます。
いずれの場合
でも、まずはご相談ください。
(死後事務)
超高齢化社会を迎え、独居高齢者が増えてきています。単に独居というだけではなく、身近に頼れる人がいないケースも増えてきています。
自分が死んだらお葬式は?後始末は?誰がやってくれるのだろう?
そう心配するのは不思議なことではないと思います。
成年後見人がいたとしても、本人の死亡とともに成年後見人はその職務が終了してしまいます。法律的には、その後のことは親族などがやるしかないのです。
しかし、先ほど申し上げたとおり、身近に頼れる人がいない、身寄りのないケースが増えてきています。
そのために、死後のことを依頼しておく契約が活用されています。
民法では、契約は本人の死亡とともに終了することになっていますが、特約をすることにより、死後も契約が有効になるとされています。
この契約を死後事務委任契約と呼んでいます。
死後事務委任契約によって、身寄りのない方でも、自宅の片付け・アパートの解約・病院の支払い・葬儀などを第三者に頼むことができます。
とても便利に思えますが、死後事務委任契約そのものの有効性に問題はないか、または本来遺言で行うべき内容になってはいないか、という問題や、遺産は相続
人のものであることから、相続人との問題などがあります。
そういったことを検討し、問題のない死後事務委任契約書を作るには、ある程度法律を知っている必要があります。
作成を検討している方は、どうぞご相談下さい。
また、内容にもよりますが、当事務所が死後事務委任をお引受けすることもできます。
私もスタッフも万能ではありませんので、当然できることに限界はあります。しかし、話し合いにより、相当の範囲の仕事はお引受けすることができると思いま
す。
他にも、ご友人に引き受けてもらい、当事務所はそのチェック役をお引き受けするという方法も考えられますので、ご相談下さい。
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